弁護士と行政書士の交通事故業務の違い

公認会計士と行政書士が比較されることは少なく、どうして弁護士行政書士が比べられることが多いのか?といえば、例えると、調剤薬局とケーキ屋を比べることはなく、パン屋とケーキ屋を比べることはある場合と同じといったところでしょうか。

弁護士と行政書士の違いで「よく比べられる業務TOP3」に入るであろう交通事故業務について、VS比較ではなく流れ的に書いています。その前にまず、基本的な弁護士と行政書士の比較を綴ります。

弁護士と行政書士の違い

簡単に言えば、

弁護士は何でも行え行政書士は書類作成に関する事が行える

という事になります。

弁護士は何でも行えて万能かといえば、そうでもなく公認会計士業務は行えません。医師業務も宅建士も行えません。税理士業務を行うにも国税局に通知をした後にその管轄内で行う事ができます。もっとも許可などではなく通知ということから、「弁護士なら税理士業務が行えるのだから」と軽く見られがちですが、きちんと通知をしないと実際に処分されてしまいます。

弁護士であれば

弁護士業務が当然に行えます。税理士業務も行えます。また、社会保険労務士、行政書士となる資格を有し(その試験に合格場合と同じ)ます。資格を有するというだけで弁理士業務のように当然に行えるというわけでもありませんが、実質的に弁護士であれば行政書士や社会保険労務士の業務を行ったところで問題になりません。

やや簡単に言うと、

弁護士は訴訟や法律事務のすべてを行え、行政書士は法律事務の一部が行い得る

という事になります。

(戦後的に言うと弁護士は代弁屋、行政書士はただの代書屋でしょうか。)

やや難しく言うと、

弁護士は訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務が行え、行政書士は官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成しその手続き代理と相談を行う

弁護士が万能なのは

弁護士法では自らの業務範囲を制限していません。「○○に限って」「○○を除く」「この限りではない」という自身の業務制限(職務制限はあります)がありません。他の士業には業務範囲にただし書きなどで「○○は含まれない」「○○の場合は除く」などの制限が必ずあり、そのほとんどが弁護士法に気を使っている(弁護士法が無意味とならないように)、つまりは、制限を超える場合は弁護士の業務だということになっています。

となります。

 

弁護士の交通事故業務

一昔前2010年代後半までは、弁護士先生に交通事故の相談に行くと「後遺障害の等級が出てからまた来てください」というのが大半でした。つまり、損害が確定してから、治療が終わってから依頼してと。そもそも、その業務の性質上、示談交渉の代理人ということもあり、賠償金が確定する治療後でなければ何も行わない、たとえば被害者を患者とみてのサポートというものになじみがないのだということみたいです。

そういった中で、賠償金が確定する前の、そこ(等級が得られるまで)に至るまでのプロセスについてサポートをはじめたのが行政書士です。2000年2010年代ははネットの普及も相まって行政書士による交通事故サポート全盛期といえます。

行政書士による交通事故のサポート

はじめたのが行政書士とはいっても、昔から行政書士は自賠責に関する業務を行っています。自賠責の法律に関連して国会の委員会に行政書士が参考人として呼ばれているので、元々行政書士が行っていたというのが正しいかもしれません。)そして、今ではその行政書士の行う交通事故の自賠責に関しては、その多くが後遺障害のサポートという形で業務を行っています。

しかし、最近では、「治療中でも相談ください」「後遺障害もサポートします」という弁護士先生は増えたようです。増えたというよりも、それもまた一般的といえるようになりました。

2010年代でも週に何回かは「ちょっと今の委任している先生が頼りなくて、相談したい事がある」という交通事故の後遺障害についての相談がありました。(何となく不安がある)

2020年代に入りこういった相談は減りましたが、いまでは「今の先生が後遺障害も”やる”と言っても全然何もやってくれない。通院のアドバイスすらないのに、任せてくださいとしか言わないので困っている」という内容に変化してきました。(具体的な不満を持っている)

この2つの相談を比べると、弁護士先生の決定的な違いは、むかし「やるといってないからやらない」のと、いま「やると言ってやっているつもり、やらない」の違いです。これは大きな違いです。「やるとは言っていない」から”やらない”のはおかしい事ではありません。やるといったから依頼をしたのにやらないのでは、これは依頼人としてはたまったものではありません。

そもそも弁護士に依頼する交通事故業務の範囲

むかし>やると言ってないからやらない方は、後遺障害のサポートは症状のサポートで損害賠償とは関係ないという理屈で、弁護士と被害者との業務の契約で、損害賠償請求だけを委任してある。(屁理屈っぽいですがもっともです)

いま>やると言ったのにやらない方は、損害賠償請求と被害者請求(ほか「自賠責請求」と明示していことが多い)も依頼したという違いがあります。これだとやるといってやらないのは依頼人の期待過剰ともいえます。なぜなら、症状はありのままで等級に反映されるのだから、それを被害者請求するだけでいいという理屈です。要はそろった書類で被害者請求のみを代行という感覚です。

近代的>便弁護士業務委任契約書に「後遺障害のサポート」という事が書かれていることもあります。(本記事執7年後の現在、大幅加筆中)

交通事故業務での専門性の違い

結局、弁護士先生は代理人として動くのが本職、でも患者の代理にはなれないのでその辺の感覚に乏しく、自賠責請求は任意一括に任せていたこともあり、その歴史が浅く経験値の積み重ねが少なくなってしまいます。訴訟上で後遺障害について争う事を避けるので、医療裁判が行える弁護士の少なさを考えると得意ではないのでしょうか。得意分野がわかれるところです。

行政書士はそもそも最初から自賠責書類の作成から行っており、全盛時代のように後遺障害のサポート概念が広がったのは行政書士の営業努力の成果というのが事実だといって間違いはありません。そもそも訴訟などもできず、後遺障害をやらずして何をやるのかというところで、得意も不得意も無く、後遺障害はおのずと専門的になります。