令和元年12月4日に公布された改正行政書士法では、法の目的として「国民の権利利益の実現に資すること」という文言が追加されました。
法律の第一条にはその法律の目的が定められていることが多いですが、行政書士法の場合は 、
旧法「国民の利便に資することを目的とする」
とされていました。 つまり、「国民の生活を便利にしなさいよ。行政書士は」といったところです。 そんな中で、今回の行政書士法の改正で次のようになりました。
新行政書士法第一条(抜粋) 「 国民の利便に資し、もって国民の権利利益の実現に資すること を目的」
つまり「国民の生活を便利にして、国民の権利としての当たり前の利益を叶えなさいよ。行政書士は」と言ったところでしょうか。
各士業の役割~法第一条~
士業の場合は、その法律の第一条で士業の存在意義が定められています。参考までに他士業の法第一条をご紹介します。
弁護士法第一条(抜粋)「 基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命 」
つまり、「当たり前の人権をかばってまもり、社会的な公正を実現させなさいよ。弁護士は」と言ったところです。
税理士法第一条 (抜粋)「 納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命 」
つまり、「納税者の頼りに真摯に対応して、尊法で過不足の無い納税を実現させなさいよ。税理士は」といった感じです。
社会保険労務士法第一条(抜粋)「 労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的 」
つまり、「真っ当な事業と労働者たちが幸せだと思えるようにがんばりなさい。社会保険労務士は」です。
公認会計士法第一条(抜粋) 「 会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命 」
たぶん「事業者の活動を正しく導き、資産を預けたり貸したりしている者たちが保護されるようにしなさい。そうすれば日本経済が潤うから。」という意味かもしれません。
司法書士法第一条(抜粋)「 登記、供託及び訴訟等に関する手続の適正かつ円滑な実施に資し、もつて国民の権利の保護に寄与することを目的 」
これは「登記所や裁判所での手続きをスムーズに行えるようにして、国民の権利がうやむやにされないようにしてくださいね。司法書士は」と言ったニュアンスです。