
今回の焦点は「行政書士の報酬に関する受領書が、なぜ印紙税法上『営業に関する金銭又は有価証券の受取書(課税物件表第17号文書)』に該当しないのか」という点ですね。
✅ 結論から先に:
行政書士報酬の受領書は、印紙税法上「営業に関しない金銭の受取書」とされるため、原則として印紙税の課税対象になりません。
これは「営業」という言葉の定義と、行政書士の仕事の法的性格(委任契約)に基づく国税庁の見解に由来しています。
🔍 1. 印紙税法における「営業」とは?
印紙税法上の「営業」とは、次のように理解されています:
「営利を目的として反復継続して行われる事業活動全般」
つまり、企業や事業者が行う通常の取引や業務で、「売上」や「報酬」が対価となって発生するものです。
以下は代表的な「営業」例です:
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商品販売
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建設業による請負工事
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運送業務
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システム開発などの請負契約
このような活動に関連する「金銭の受取書」には、印紙税が課される(=課税文書)というのが大原則です。
🧾 2. 課税対象となる受取書とは?
印紙税法別表第1【第17号文書】では次のように書かれています:
営業に関しない金銭又は有価証券の受取書は非課税
一方で、営業に関して作成された金銭又は有価証券の受取書は課税文書とされ、一定額以上(5万円超)であれば収入印紙が必要。
⚖️ 3. 行政書士の報酬受取書が課税対象外となる理由
▶ 理由①:行政書士業務は「営業」に該当しない(と整理されている)
国税庁は、次のように解釈しています:
弁護士、公認会計士、行政書士、税理士等の士業による報酬の受領書は「営業に関しない金銭の受取書」である。
これは以下のような理屈に基づいています:
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士業は「人格的・専門的職務」に基づいてサービスを提供しており、商人的な意味での営業活動とは異なる。
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報酬は「委任契約」に基づくものであり、商取引のように「売った・買った」の形をとらない。
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士業は特別法(行政書士法など)に基づいて業務をしており、その性質上「営業」として広義に括るのは妥当ではない。
▶ 理由②:国税庁通達・照会事例に明示されている
具体的には、国税庁が発行する「印紙税の手引」などで次のように記載されています:
「弁護士、税理士、公認会計士、行政書士等の報酬に関する受取書は、第17号文書に掲げる営業に関する金銭の受取書には該当しない。」
つまり、行政書士が報酬として金銭を受け取り、それに対して領収書(受取書)を発行しても、印紙は不要という取扱いが明確にされています。