「士」という文字は、日本で江戸時代まで一定の地位や立場にあるものを指す言葉として使用されていました。
明治以降に法整備が進む中で、司法、会計、不動産、建築、土木、医療、福祉の分野で様々な国家資格が生まれ、そういった国家資格の名称に「士」が使われるようになりました。
そして、今ではこの「士」の中でも、一部の「士」を特に「士業」(シギョウまたはサムライギョウ)と呼ぶようになりました。
例外なく「士」というのは一定の分野での専門家(専門的知識を持つ者)を意味します。ただ、一言に士業といっても、世間ではその分類方法がいくつか存在します。
今回はその分類別の士業となぜ弁護士が士業の中でTOPと言えるのか?について、3回に分けて書きたいと思います。
ちなみに、同じ読み方をするもので「師」がありますが、これは陰陽師の流れからきている名称だと言われています。例えば、薬剤師がそうですが、何となくお分かりいただけると思います。
なお民間資格の○〇士は、その能力の担保(裏付け)に疑義があるものも少なくない事から、ここでは取り上げない事とします。
士業の分類
分類その1/八士業
八士業、世間で士業といえばこの8士業が外されることはありません。法律で強い権限が与えられいる士業です。
- 弁護士
- 司法書士
- 弁理士
- 税理士
- 社会保険労務士
- 行政書士
- 土地家屋調査士
- 海事代理士
権限といっても、戸籍関連書類や住民票の写しなどが職権で請求することができだけですが、昨今の個人情報保護に対する意識の高さからも、この権限は大変大きなものといえます。
この請求には職務上請求用紙という専用の用紙が必要となり、この用紙は厳重に管理保管されています。
公認会計士が含まれない理由
公認会計士が含まれていない理由については、おそらく白黒はっきりとさせて証明することができる「別格」であり、そもそも職務上請求用紙を必要とする業務ではないからだと思います。
公認会計士になれる者は、無試験で税理士登録が行えることからも、決して8士業に劣後する士業ではありません。
分類その2/専門家
専門家士業、法律上(条文の中で)専門家という文言が入っている士業。条文で○○の専門家とされている6士業です。
公認会計士「監査及び会計の専門家」
税理士「税務に関する専門家」
弁理士「監査及び会計の専門家」
宅建士「土地又は建物の取引の専門家」
司法書士「登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家」
土地家屋調査士「登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家」
専門家分類は?
単純に条文上に「専門家」という文言のあるなしで別ける。一つの分け方としては有りですが、世間一般でこの分類を使って士業を分ける場面、つまり使いどころがありません。条文上で「専門家」とされていることにそこまでの深い意味もないと思います。
条文上で重要なのは「○○の専門家として」に続けるなどして書かれている士業の存在意義の部分だからです。先の6士業の条文では「の専門家として」に続き下に列挙するその存在意義が書かれています。
あえてどの士業かは書きません。実際に活動している士業が使命を全うしようとしている姿を想像すると、おおよそわかると思います。
法律上の使命
自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命(司法書士)
国民生活の安定と向上に資することを使命(土地家屋調査士)
納税義務の適正な実現を図ることを使命(税理士)
国民経済の健全な発展に寄与することを使命(公認会計士)
経済及び産業の発展に資することを使命(弁理士)
購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資する (宅建士)
分類その3/10士業
其々が隣接的な関係にある者をまとめた法律系統の10士業。商工会議所等が10士業合同と称した相談会などを行っています。
公認会計士、中小企業診断士、不動産鑑定士を加え、八士業から海事代理士を除いた7士業(弁護士、司法書士、弁理士、税理士、社会保険労務士、行政書士、土地家屋調査士)の10士業。
式で表すと、
(八士業ー海事代理士)+公認会計士+中小企業診断士+不動産鑑定士=10士業
です。
「○○士法」の有無
10士業のうち、中小企業診断士、不動産鑑定士の2つの士業については、○○(名称)法が存在しません。
たとえば、中小企業診断士は、「中小企業支援法」の第11条~に触れられています。
「中小企業者がその経営資源に関し適切な経営の診断及び経営に関する助言(以下単に「経営診断」という。)を受ける機会を確保するため、登録簿を備え、中小企業の経営診断の業務に従事する者~中略~登録する」
要約すると、経産大臣は経営者のために助言する者の名簿を作るという事ですが、中小企業診断士とは書かれておらず、「中小企業の経営診断の業務に従事する者」と書かれています。
不動産鑑定士も「不動産の鑑定評価に関する法律」第3条~で定められています。
不動産鑑定士は、不動産鑑定士の名称を用いて、不動産の客観的価値に作用する諸要因に関して調査若しくは分析を行い、不動産の利用、取引若しくは投資に関する相談に応じることを業
不動産の鑑定評価に関する法律の条文の大半は、不動産鑑定士に関する定めになっていますが、不動産鑑定士法という名称の法律にならなかった理由は、行政書士法など「資格を持つ人」を主体とせずに、「不動産鑑定という制度」を主体としたために(政策上、時代背景などから)このような法律名称になっていると考えられます。
もちろん、○○(その名称)法がないからといって、他の○○法がある士業に劣後するということはありません。
第2回につづく

コメント Comments
コメント一覧
コメントはありません。
トラックバックURL
https://blog.llp-senryaku.info/sigoto/othersamurai/samuraigyou/trackback/