法律上「日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄」です。
そして「日本学術会議は、二百十人の日本学術会議会員をもつて、これを組織する」とされています。
会員の決め方
その会員は「日本学術会議」が「会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣」に推薦し、その「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。」ことになっています。
会員の辞め方
また、会員を決めること以外に、条文上では会員に関して、次の2つの決まりがあります。
1,内閣総理大臣は、会員から病気その他やむを得ない事由による辞職の申出があつたときは、日本学術会議の同意を得て、その辞職を承認することができる。
2,内閣総理大臣は、会員に会員として不適当な行為があるときは、日本学術会議の申出に基づき、当該会員を退職させることができる。
これらはつまり、【会員の自主退の場合】と【クビの場合】を定めたものです。
1については、辞職の申し出に対して、総理が承認するには日本学術会議の同意が必要という事であって、最終的には総理が決定するものと考えられます。
2については。総理が退職させるには日本学術会議の申し出がなければならないという事であって、最終的には総理が決定するものと考えられます。
そして、会員の決め方については、総理が任命するには日本学術会議の推薦が必要という事になっていますが、先の2つの定めから、これについても最終的には総理が決定するものと考えるのが条文の流れといえます。
任命の拒否が可能とは言い切れない
しかし、条文上、総理は任命することができる、任命しなければならない、とされていないことを踏まえると、「任命する」というのはあいまいで不明確です。
そこで、最高法規である憲法を見てみると、「天皇は国家の指名に基づいて内閣総理大臣を任命する」とあります。この場合、天皇には拒否権はありません。憲法にはその拒否権はないとまでは書かれていませんが、そのほかの内容(天皇は国事行為のみを行う、内閣の助言と承認が必要など)から拒否権がないのは明らかです。
ならば、日本学術会議法のそのほかの内容はどうなっているのかといえば、日本学術会議は「独立して職務を行う」「政府に勧告する」とあります。先の天皇の任命と比べれば、総理に任命の拒否権が無いとまではいえない内容ですが、自由裁量的に拒否ができる内容でもないといえます。
日本学術会議法を改正して総理の任命の権利について明確にしなければならないと思います。